
カードローンを複数社から借りたい、または既に何社か借りている状態で追加の借入を検討している方にとって、「何社まで借りられるのか」は重要な疑問です。
結論から言えば、法律上の社数制限はありませんが、実際には3社を超えると新規審査が非常に厳しくなります。
カードローンの借入社数と審査への影響
複数から借入をすること自体は違法ではありません。しかし、借入社数が増えるほど評価は下がり、審査通過は困難になっていきます。
借入社数による審査難易度の変化
各カードローン会社は借入社数を重要な審査項目として確認しています。借入件数が多いほど「返済に困っている」「多重債務に陥る可能性が高い」と判断されるためです。一般的な目安として、以下のような傾向があります。
| 借入社数 | 審査への影響 | 状況 |
|---|---|---|
| 1社 | ほとんど影響なし | 返済実績があれば評価されることも |
| 2社 | やや慎重に審査される | 収入と借入額のバランスが重視される |
| 3社 | 審査が厳しくなる | 返済能力の証明が必要になる |
| 4社以上 | 新規借入は極めて困難 | 多重債務者として警戒される |
借入社数が3社を超えると、大手消費者金融や銀行カードローンの審査通過率は大幅に低下します。4社以上になると、ほぼ審査に通らないと考えるべきでしょう。これはリスク管理の観点から当然の判断と言えます。
総量規制との関係
消費者金融やクレジットカードのキャッシングには、貸金業法による総量規制が適用されます。これは年収の3分の1を超える貸付を禁止する制度です。借入社数に関わらず、合計金額がこの上限を超えることはできません。
例えば年収450万円の方なら、何社から借りていても合計150万円が上限になります。
銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、多くの銀行が自主規制として同様の基準を設けています。そのため、銀行だから無制限に借りられるわけではありません。
複数社から借りるリスクと問題点

仮に審査に通って複数社から借入ができたとしても、様々なリスクが待ち受けています。借入社数が増えることで生じる具体的な問題を理解しておく必要があります。
返済管理が複雑になる
借入先が増えると、それぞれの返済日や返済額を管理しなければなりません。返済日が異なる複数の借入を抱えると、以下のような問題が発生します。
- どの口座にいくら入金すべきか混乱する
- 返済日を忘れて延滞してしまうリスクが高まる
- 毎月の返済総額が把握しにくくなる
- 残高や完済までの期間が不明瞭になる
一度でも返済を遅延すると、信用情報に傷がつきます。複数社への返済を管理するのは想像以上に大変で、うっかりミスが命取りになりかねません。
金利負担が大きくなる
複数のカードローンを利用すると、それぞれに金利がかかります。少額を複数社から借りている場合、各社で上限に近い高金利が適用されている可能性が高いです。消費者金融の場合、50万円以下の借入では年18.0%程度の金利が一般的です。
例えば、3社からそれぞれ30万円ずつ借りて合計90万円の借入がある場合と、1社から90万円借りる場合では、金利負担が大きく異なります。
1社でまとめて借りれば年15.0%程度の金利が適用される可能性があるため、年間で数万円の差が生まれることもあります。
多重債務に陥るリスク
最も深刻なのは、多重債務のスパイラルに陥ることです。複数社から借りている状態で返済が苦しくなると、新たな借入で既存の返済を賄う「自転車操業」に陥りがちです。
この状態になると、借入総額は増え続け、最終的には返済不能になってしまいます。
信用情報機関のデータでも、借入社数が多い人ほど延滞率が高いことが示されています。4社以上から借りている方の延滞率は、1社のみの方と比べて数倍に達するという調査結果もあります。
既に複数社から借りている場合の対処法
すでに複数のカードローンを利用している方は、現状を改善するための行動が必要です。放置すれば状況は悪化する一方ですが、適切に対処すれば道は開けます。
おまとめローンを検討する
複数の借入を一本化する「おまとめローン」は、多重債務状態を解消する有効な手段です。おまとめローンには以下のメリットがあります。
- 返済日が月1回に統一され管理が楽になる
- 金利が下がり総返済額が減る可能性がある
- 返済計画が明確になり完済への道筋が見える
- 総量規制の例外として年収の3分の1を超えても利用できる
ただし、おまとめローンにも注意点があります。一本化後は追加の借入ができなくなるため、本気で完済を目指す覚悟が必要です。また、返済期間が長くなると、金利が下がっても総返済額が増えるケースもあります。シミュレーションをしっかり行ってから申し込みましょう。
返済計画を見直す
おまとめができない場合は、現在の借入を効率的に返済する計画を立てましょう。優先順位をつけて返済することで、確実に借入を減らせます。
- 金利が最も高い借入を優先的に返済する
- 少額の借入は一括返済して社数を減らす
- 毎月の最低返済額より多めに返済する
- ボーナスなど臨時収入は返済に充てる
特に重要なのは、新たな借入を増やさないことです。現状維持ではなく、確実に残高を減らしていく意識を持ってください。
家計の見直しと収入増加
根本的な解決には、収入と支出のバランスを改善することが不可欠です。支出を削減できる項目がないか家計を見直し、不要なサブスクリプションや交際費を削りましょう。
同時に、副業や残業で収入を増やす努力も検討してください。
返済が本当に困難な場合は、早めに専門家へ相談することも選択肢です。日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターや、各地の消費生活センターでは無料で相談を受け付けています。
自己破産などの法的手続きが必要かどうかも含めて、プロのアドバイスを受けることができます。
適切な借入のために意識すべきこと
カードローンは便利な金融商品ですが、利用方法を誤れば生活を圧迫します。借入社数を増やさないために、以下の原則を守りましょう。
- 借入は計画的に、返済のめどが立つ範囲で行う
- 複数社からの借入は極力避け、1社で必要額を借りる
- 返済が苦しくなったら、新規借入ではなく返済計画の見直しを優先する
- 定期的に借入残高と返済状況を確認する習慣をつける
カードローンの借入社数に法的な上限はありませんが、3社を超えると金融面でも精神面でも大きな負担となります。既に複数社から借りている方は、早急におまとめや返済計画の見直しを検討してください。
健全な家計を維持するために、借入は必要最小限にとどめることが何より重要です。