
カードローンの審査では、申込者が安定して返済できるかどうかを多角的に判断します。金融機関は法律や社内規定に基づいて審査を行いますが、その具体的な内容を事前に知っておくことで、申し込み時の準備ができます。
審査項目は大きく分けて、個人の属性情報、信用情報、そして総量規制への適合性の3つに分類されます。これらを総合的に評価して、融資の可否や限度額が決定されます。
申込者の属性情報
属性情報とは、申込者本人の社会的・経済的な立場を示す情報です。返済能力を判断する基礎となる部分で、申込書に記入した内容が審査の出発点になります。
| 審査項目 | 確認内容 | 重視されるポイント |
|---|---|---|
| 年収 | 年間の総収入額 | 安定性と金額のバランス |
| 勤務先 | 会社名、業種、規模 | 企業の安定性や継続性 |
| 勤続年数 | 現在の職場での勤務期間 | 長いほど評価が高い(目安は1年以上) |
| 雇用形態 | 正社員、契約社員、派遣など | 安定した雇用関係があるか |
| 居住形態 | 持ち家、賃貸、社宅など | 居住の安定性 |
| 居住年数 | 現住所での居住期間 | 長いほど信頼性が高い |
年収は重要な指標ですが、金額だけでなく安定性も評価されます。高年収でも収入が不安定な場合より、年収が平均的でも毎月確実に収入がある人の方が評価されることもあります。勤続年数が短い場合や転職直後は、収入の継続性に疑問を持たれやすいため注意が必要です。
信用情報の内容
信用情報機関に登録されている過去の金融取引履歴は、審査において極めて重要な判断材料です。CIC、JICC、KSCといった信用情報機関に照会を行い、申込者の信用力を確認します。
確認される主な信用情報は以下の通りです。
- 他社からの借入状況:件数、総額、残高
- クレジットカードの利用状況:支払い履歴、利用残高
- 過去の返済履歴:延滞や滞納の有無と頻度
- 金融事故の記録:債務整理、自己破産、代位弁済など
- 直近の申し込み履歴:他社への申し込み状況
特に延滞情報は審査に大きく影響します。携帯電話の分割払いやクレジットカードの支払いも信用情報に記録されるため、普段から遅延なく支払うことが重要です。一度でも長期延滞や金融事故の記録があると、その情報が消えるまで審査通過は困難になります。
審査を左右する具体的な判断基準

返済能力の算定方法
金融機関は申込者の年収や既存の借入状況から、返済に充てられる余力を計算します。この計算には返済比率という指標が用いられ、年収に対して年間返済額がどの程度の割合になるかを評価します。
一般的に、年収の30?40%を超える返済負担は過重と判断されます。住宅ローンなど他のローンがある場合は、それらも含めた総返済額で判断されるため、既存の債務が多いと新規借入は難しくなります。
総量規制による制限
貸金業法では、個人の借入総額が年収の3分の1を超えてはならないという総量規制が定められています。消費者金融や信販会社のカードローンはこの規制の対象となるため、既に年収の3分の1近くまで借入がある場合、新たな借入はできません。
銀行カードローンは総量規制の対象外ですが、多くの銀行が自主的に同様の基準を設けています。そのため、総量規制の上限に近い状態では、どの金融機関でも審査通過は困難です。
申込内容の整合性
申込書に記入された情報と、在籍確認や信用情報との整合性も厳しくチェックされます。年収や他社借入額の申告が実態と大きく異なる場合、虚偽申告とみなされて審査に落ちるだけでなく、今後の取引にも影響します。
在籍確認では勤務先に電話連絡が入るのが一般的です。この確認が取れない場合や、申告内容と異なる情報が判明した場合は、審査に通りません。正確な情報を記入することが、審査通過の大前提となります。
年齢と健康状態
申込時の年齢も審査項目の一つです。多くのカードローンでは20歳以上69歳以下といった年齢制限があり、この範囲外の人は申し込めません。高齢になるほど完済までの期間や健康リスクを考慮して、審査が慎重になる傾向があります。
また、一部のカードローンでは団体信用生命保険への加入を条件としている場合があり、健康状態によっては保険に加入できず、結果として審査に通らないこともあります。
過去の取引実績
同じ金融機関で以前から取引がある場合、その実績も審査材料になります。預金口座の利用状況、給与振込の有無、他のローン商品の返済実績などがプラスに働くことがあります。
逆に、過去にその金融機関で延滞や契約違反があった場合は、社内情報として記録されており、審査に大きく影響します。信用情報機関の記録から消えた後でも、社内記録は残り続けるため注意が必要です。
審査基準は金融機関によって異なりますが、これらの基本的な確認項目は共通しています。申し込む前に自分の状況を客観的に把握し、不利な点があれば改善してから申し込むことで、審査通過の可能性が高まります。